· 

母の怒り

父がICUで治療し続ける日々の中、

父が目覚めてくれるかどうか、命をつないでくれるのかどうか、

祈り続けるとともに、

心配だったのが母の心の状態。

 

うつ病の再発。

 

ずっと父だけを見てきた母。

 

30年前にうつ病を発病した時も、

「お父さんお父さん」と、父を探し続けていた母。

 

父が眠り続けて、3週間。

 

その間、愛知と北九州を行き来しながら、

母と話して、一緒にご飯を食べて、隣で眠る。

 

母が15年間うつ病を患った後、

普通の生活に戻ることができて、

ほぼ元気になったけれど、

 

奥の奥に、根深く残り続けていた怒り。

 

姑だった祖母への怒り。

叔父への怒り。

母の母(私にとって祖母)を大事にしなかった

兄と兄嫁への怒り。

 

何年たっても、ふとした拍子に顔を出す、怒り。

 

それが、

父のことで、いろいろ対話をする日々の中で、

ある朝、

 

母の中から、涙と共に、溶けていったのです。

 

私は、この時間を生涯忘れないでしょう。

 

私は、もしかしたら、この時のために、

ここまで学び続けてきたのかもしれません。

 

まだ、父のこれからによっては、どう展開するかはわかりませんが、

それでも、いいのです。

 

2人で泣きました。

 

昨日、北九州に戻ったら、モッコウバラが満開、

というよりも、手の施しようのないほどの、もはやボサボサな森。

自然の勢いに、埋もれてもう一度泣きたくなりました。