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ここに存在するだけで

 

お盆休み。愛知に帰省もせずにステイホームだったので、

久しぶりに、詩集を手にとってみました。

 

私が学生時代に出会った本。

その頃から、何十年も本棚に在り続けている本。

 

贈るうた

吉野弘

/花神社

 

 

 

この本の中に、

「生命は」という詩があります。

 

「生命は

自分自身だけでは完結できないように

つくられているらしい

 

花も

めしべとおしべが揃っているだけでは

不充分で

虫や風が訪れて

めしべとおしべを仲立ちする

 

生命は

その中に欠如を抱き

それを他者から満たしてもらうのだ

世界はたぶん

他者の総和」

 

(一部抜粋)

 

自分の欠点や馬鹿さ加減に、

打ちのめされそうになっていたとき、

救われたものです。

 

もともと自分自身で完結できないように

創られているのに、

 

一人で完結しようと目指すなんて、

完璧さを目指すなんて、

欠点をどうにかしようなんて、

 

自然の在り様に逆らったところで、

 辿りつけるはずもない。

 

読むたびに、力が抜け、

心が、緩みます。

 

我が家の庭では、

青虫君が、葉っぱを食べまくっています。

 

写真中央より、やや斜め右上。

 

「はらぺこあおむし」という有名な絵本を思い出すほど、

 

食べっぷりがすごい。

 

 

巣を作っているのでしょう。

 

今朝は、鳩が何度もやってきて、庭に落ちている枝を探しては、

飛び立っていきます。

 

我が家の庭も、ここに存在するだけで、

青虫や鳩たちに

役立っているのでしょう。

 

この青虫も、鳩が産み育てる卵たちも、

いつか成長し、

花や植物の仲立ちをするのでしょう。