この春、娘が大学を卒業しました。
新型ウイルスの影響で、卒業式は中止となりましたが、
少人数のゼミでの授与式を行ってもらえたのは
本当に、ありがたいことでした。
袴姿での卒業式は、
私と娘にとって、特別な意味がありました。
娘が小学生のころ。
私が、まだコピーライティングの仕事をしていた
10数年前にさかのぼります。
私の仕事には一切興味を示さなかった娘が、
唯一、ライティングをするそばで眺めていたのが、
卒業袴のパンフレットの仕事。
パンフレットのデザインも写真も鮮やかで素敵だったからでしょう。
「私もいつか、着るのかな」
「そうよ。楽しみだね」
そんなやりとりをしたのは、
当時住んでいたマンションのリビング。
その時、彼女がどこに座っていたか、
どんな目をしていたか、
どんな空気が流れていたか、
鮮明に覚えている、愛おしい時間。
娘の将来を思い描きながらも、
イメージコピーを綴った記憶があります。
仕事で忙しい母親にとって、
こぼれ落ちてしまう子どもとの時間は
たくさんあると思います。
後悔もたくさんあります。
そんななかでも、二人だけの
共有できるかけがえのない思い出や
楽しみにしてきた特別なものがあって、
私と娘にとって、そのひとつが、
この卒業袴だったのです。
ですので、この時期ですし、迷いはしたのですが、
大学の構内で着付けをするため、
大学に行かないかぎり、写真が撮れないので
入り口近辺までということで、
行ってきました。
子育て中、たくさん、こぼれ落ちてしまった中で
唯一手の平に、ずっと握りしめてきたものまで、
見逃すことはできなくて。
私のわがままな選択です。
十数年越しの夢見た風景。
数枚、一緒に写真を撮った後は、
遠くから眺めていたのですが、
あちこちと、いろんな人たちのところへ動き回っていて、
その落ち着かない、忙しい様子が、
まさに自分を見ているかのようでもあり、
夫を見ているかのようでもあり。
サークルのみんなと話す機会があり、挨拶すると
「めっちゃ、似てる!!」
遠くから見てた友人たちからも、後で
「お母さんやろ、遠くからでもすぐわかった」
と言われ、ショックがってる娘。
娘の友人とお母さんにも挨拶しましたが、
やはりよく似てらっしゃいますね。
顔というより、雰囲気。空気感。
なんでしょうね。
価値観も好みも行動パターンも、
私とは全く異なる娘ですが、
共に過ごしてきた時間が、
同じ空気感をまとうのでしょう。
そんなことを考えつつ、
4年間をどうやって過ごしてきたのか、
私の知らない一面を見ることができて、
私なりの、子育ての卒業式を終えてきました。
そして、彼女は、4月から新しい地で、社会人をスタートします。
引っ越し作業の手伝いもあり、
京都広島と移動していましたので、
私は4月上旬まで、念のため、
電話カウンセリング、オンラインセラピーで
対応させて頂きます。
よろしくお願い致します。